伝えたい想い湘南
梅の生産者さんインタビュー
あすなろファームさん
小田原 下曽我
今回お届けする梅は、小田原 下曽我の「あすなろファーム」さんにより、20年間農薬を全く使わず、灰と堆肥、米ぬかで育てられた梅。もともと高校教師だった上島さんが、定年後にこの梅園を開墾し、幻の梅と言われる「杉田梅」の日本一の生産量を誇る農園に育てあげた。自らの人生をかけて行ってきたことを、晩年に「梅」を通して気づかされた。
人間は若い時だけ
学ぶものではなく
一生涯かけて学ぶもの
己の人生をかけて
「生涯教育論」を実践する
上島さんはもともと高校の教師でいらっしゃったんですね。教育者として勤め上げ、その後農園を築きあげるまで、その軸となるものを教えてください。
「私はもともと技術高校の教師として生徒と向き合いながら、新たな技術を学びそれを国や県との共同政策で社会人向けの講座で教えるということも行ってきた。
自分の人生の中で、波多野 完治先生が「生涯教育論」という本で示されていた“人間は若い時だけ学ぶものではなく、一生涯かけて学ぶもの”という精神を心に止め、実践してきた。
そして社会的に経験を積んで、それを人に伝え、その人たちが育っていってほしいという気持ちが根幹にある。」
晩年になって身に染みる
「利他の心」がみちびく豊かさ
コロナで困っていた時に
この土地の梅が助けてくれた
「私が晩年になって大切にしている精神がもう一つあって、それは稲盛和夫先生が繰り返しおっしゃっていた”利他の心”。
僕は高校の教師をしながら、小田原の鋳物文化を守るために鋳物研究と創作を行うNPOを立ち上げた。その鋳物が人気を博して東京でも有名になった。NHKでも紹介されたよ。
しかしコロナの時に、百貨店で売ってもらうことができなくなって、困り果て…その時に救ってくれたのが、この鋳物工房がある土地の”梅”だった。」
「自然の状態で残されたこの土地の梅、特に”杉田”は品種改良をしていない日本古来の梅と言われ、一度その姿を消したことから”幻の梅”とも言われている。その杉田梅の売上がこの土地とNPOを守ってくれた。
私は今まで人のためになるよう、教師として人を育て、技術を学び社会に還元してきた。それがこんなところでかえってくるとは…長い人生をかけてそんなことを身をもって知った。」
草木が覆う自然そのものの梅畑を開墾
自然に押し潰され
そうだった
上島さんを救った梅畑は当初は人の手が入っておらず、草木が深く覆う自然そのものの状態だった。その地を自らの手で開墾し、ご近所さんはもちろん、様々な土地から人が集う理想郷に育てあげた。
いや、今でも
押し潰されそうな時もあるか
「本当にひどい状態だったよ。自然に押し潰されそうだった。今は少しだけ、自然と対等にやれるようになったかな。いや、今でも押し潰されそうな時もあるか。」
「ここの梅の一部はね、いずれ近所の障害者の方のための施設に譲るために育てているんだ。それから、近所の人や、いろんな人が梅園にきて、この土地のあたたかみを感じて欲しいと思っている。人がくれば栄える。
そして自らが学び続け、経験をつみ、次の世代に渡して行きたいんだ。」
そんなことをお話された上島さん。初めて私がお会いした時、恐縮する私にこんな言葉をかけてくださいました。「ここでは自由にやっていいんだよ。お茶でも飲みながらね。」
あれから時がたち、今でも私はこうして、上島さんに会いに、梅畑をおとづれています。