絵本の主人公インタビュー「海の街片瀬で、江戸時代から続く和菓子屋 上州屋さん」


今回みなさんにお届けする絵本の主人公である上州屋さん。
湘南 藤沢 片瀬の海の街で、天保元年から続く、地域に愛される和菓子屋さんです。
和菓子屋は自分が継ぐ
中学生の少年の決断
ー 上州屋さんは旦那さんのご実家でいらっしゃるのですね。ご自身も小さい頃から和菓子屋さんを継ごうと思われていたんですか?
旦那さま:「僕は5つ上の兄がいるんですけど、兄はやりたいことがあって、じゃあ僕がやりますっていう感じで。」
奥さま:「そうゆう性格の人なんです。私たちからはありえないですよね。中学生で親の家業を継ぐと決断するって。」
旦那さま:「これ以外の生業を知らないので、当たりだと言う感覚なんですよね。」

家族にとっての当たり前は
実は特別なことだった
ー インスタグラムの素敵なお写真やお言葉は奥さまが発信されていらっしゃるのですよね?外の街から老舗に嫁いで感じることは?
奥さま:「長らくお店をやっていて、ただ誠実に物を作っているというのが、私からしたら”もったいない”という気がして、”お伝えする”ということをはじめました。」
旦那さま:「妻以外の我々家族はあそこで生まれ育っているので、当たり前と思っていることが、お客さまにはあまり知られていなかったりして。妻は別のところから来て、その目線でいてくれていますね。」


上州屋の和菓子が
家族のお祝いごとの一部に
ー この街にずっとある、上州屋さんだからこその、お客さまとの関係性が素敵ですね。
「昔から住まわれているお客さまは特に“お祝い事があったら、上州屋に”そんなふうにおっしゃってくださいます。
こどもの日は上州屋の柏餅、お月見の時は団子を飾って…みなさんそういった行事で楽しんで、想い出にしてくださっている。
1歳の誕生日の一升餅も”私の時にやったからこどもにも”とご依頼くださる方もたくさんいらして、そういった関わりをさせて頂いているのは、代々続けてきたからだと感謝しております。」

お客さまの想い出とともに
「おいしい」の声をお伺いできる
「お客さまには、何代も通ってくださっているおじいちゃんおばあちゃんもいらして、その方たちから私たちが知らない上州屋のことを教えてもらったりすることもあるんですよ。
上州屋は昔、洋菓子もやっていたとか…その前はお煎餅を焼いていたとか、僕も”そうなんだ〜”という感じで、逆に地域の方に教えていただいています。
それから上州屋はお客さまに直接”こないだ、おいしかったよ”と言って頂けて、食べておいしいもそうなんですけど、あの時にみんなで買ったとか、そう言うこともお伝え頂ける。それが父や母にとっても、僕たちにとってもよろこびです。良い仕事だなと思います。」


ーお客さまと和菓子との想い出を大切にし、言葉のひとつひとつを丁寧に選び、お話してくださった上州屋の旦那さまと奥さま。そんなおふたりに和菓子とは何かをお伺いしました。
甘いものをこどもと食べるって
やっぱり笑顔に
なることだと思う
ーこの記事をご覧いただいているご家族に何かメッセージをお願いします。
「そうですね。和菓子を食べるというのは、”時間”だと感じています。誰かと食べる時間とその幸せだったり。
甘いものは基本的には”笑顔で”っていうものなので、甘いものをこどもと食べるって、やっぱり笑顔になることだと思います。」

絵本協力・取材協力
上州屋 様
instagram: https://www.instagram.com/jyoushuuya/